4. 2人の出会いの回想シーンが好き(2:53〜4:00)
前回の夢灯籠の続き〜三葉が起きるところまで。
今回のポイント
掴んでしまうと話が終わる。
何を掴もうとしていたか
瀧のアップ→瀧が住むマンション→東京の風景→糸守の風景→三葉の家→三葉のアップと続くシーンから。この一連の流れから私が捉えたのは、瀧が何かに気付き視線を動かし、その先には三葉がいて、三葉も何かに気付いた、というイメージです。その何かとは夢の中で入れ替わっていた相手のことです。
これはストーリー終盤で四葉に避難を促すときに、三葉に入れ替わった瀧が御神体の方から何かを感じたあの場面に近いものを感じます。
次のシーン、2人はそれぞれ街中、広場で手を伸ばします。何かを掴もうとするかのように。
©︎2016「君の名は。」製作委員会
何を掴もうとしているのか、それは2人が求めているもの。冒頭の語りの部分でも触れましたが、求めているものは夢の中で入れ替わっていた相手です。
さらに注目すべきは2人がどちらの手を伸ばしているかです。瀧は右手、三葉は左手を伸ばしています。瀧は過去にいた三葉を求めるため右手を、三葉は未来にいた瀧を求めるため左手を伸ばします。まだ開始4分ですが、左右を気にせずにはいられなくなってきました。
そして、2人は微笑み走り出します。微笑んだのは、求めていたものを掴めたからでしょうか?その答えは直後の走り出すシーンの組紐が示していると思います。組紐があるということは、そこに「結び」が存在します。やはり2人が微笑んだのは、求めていたものを掴めたからと考えます。
このシーンでは以下の動作がありました。
・手を伸ばす。
・微笑む。
・走る。
これらの動作、順番は違いますが別のシーンと類似していると思いました。それは、かたわれ時になる直前。こちらでは走る→手を伸ばす→微笑む の順ですが、その辺りを意識しているのではないかと思います。
以上、夢灯籠のシーンでした。
回想シーンのブツ切り
さあ、ついに三葉が目覚めます。ここまで来るのが結構長かったです。
スマホのアラームが鳴り響きます。朝がつらいです。このスマホ、デザインを見るにおそらくiPhone5が元になっているかと思います。推測ですが、このシーンは2013年9月2日です(理由は9回目くらいの投稿で書きます)。そしてiPhone5の発売日は2012年9月21日。ちなみにiPhone5の次の機種であるiPhone5Sと5Cは2013年9月20日発売でしたので5Sと5Cではなさそうです。
スマホから離れまして、、、三葉は夢の中で、瀧と電車で出会った時のことを回想しています。この段階で、すでに瀧と三葉が出会いを果たしていることを提示しています。しかし2人が繋がっているわけではないです。(繋がっていたら物語が終わってしまいます…)
三葉は名前を叫びながら、髪をまとめていた組紐を瀧に投げ渡します。そして瀧がそれを掴もうとするその瞬間、三葉は目覚めて回想はブツ切りにされます。そう、物語の進行を考えると瀧は絶対にここで組紐を掴んではいけないのです。何故ならこの時点で瀧は入れ替わる事実を知らず、そこに結びはまだ存在しないから。結びが存在してしまうと、ここから話は続かなくなってしまいますし、続ける必要がなくなってしまいます。因みにこの回想シーンは後でもう一度出てきますが、そちらでは途中でブツ切りされることはありません。
このシーン、個人的に特に好きな演出の一つです。
今回のまとめ
・オープニングは所々ストーリーを表現している。
・最初の回想シーンで三葉が投げた組紐を瀧が掴むと話が進まなくなる。